経理・会計のAI侵食度は87%?生き残る経理パーソンの条件

目次

① 経理業務の87%がAI代替可能——衝撃の10業務分解レポート

経理・会計の世界に、AI革命が押し寄せている。freee、マネーフォワード、弥生会計といったクラウド会計ソフトはAI機能を次々と実装し、仕訳の自動入力、請求書のOCR読み取り、銀行明細との自動照合を実現した。さらに2025年には、AIが決算書を分析して経営レポートを自動生成するサービスも複数登場している。

日本CFO協会の調査(2025年)によると、AI・RPAの導入により「経理業務の工数が50%以上削減された」と回答した企業は全体の38.4%に達した。大企業に限れば、この数字は52.1%まで上昇する。

一方、米国公認会計士協会(AICPA)は2025年の報告書で、会計業務の約60%が2030年までに完全自動化されると予測している。日本の経理業務はさらにペーパーワークが多いため、自動化のインパクトはより大きいとの見方もある。

こうした状況を受け、AIキャリア研究所では経理・会計業務を10個に分解し、それぞれのAI代替可能性をパーセンテージで算出した。

② 「入力する人」から「判断する人」へ——経理部門に迫る構造変化

経理・会計部門は企業の中でもAI化の影響を最も受けやすい部門の一つだ。その理由は明確で、「数字」「ルール」「パターン」という、AIが最も得意とする要素で業務が構成されているからだ。

10の経理業務のAI代替可能性を以下に示す。

業務 AI代替可能性
1. 仕訳入力 95%
2. 請求書処理・照合 93%
3. 経費精算チェック 91%
4. 銀行明細の消込作業 94%
5. 月次決算の数値集計 88%
6. 固定資産管理 85%
7. 税務申告書の作成 78%
8. 予算実績差異分析 65%
9. 管理会計・経営分析レポート 42%
10. 経営者への財務アドバイス 18%

上位6業務の平均は91%——これが「AI侵食度87%」という数字の正体だ。定型的な処理業務は2028年までにほぼ自動化される。

しかし注目してほしいのは下位4業務だ。予算実績差異分析から経営アドバイスまで、「数字の意味を読み解き、人間に伝える」業務のAI代替可能性は大幅に下がる。

この構造を理解することが極めて重要だ。なぜなら、経理部門のヘッドカウントが半分になっても、残った経理パーソンの給与は上がる可能性が高いからだ。経理部門は「10人でルーティンを回すチーム」から「3人で経営の意思決定を支えるチーム」に変わる。この3人に入れるかどうかが、経理パーソンの生存戦略の核心だ。

デロイトトーマツの調査でも、「経理・財務部門の人員は今後5年で30〜40%減少するが、残る人材の平均年収は15〜20%上昇する」と予測されている。二極化の波がすでに来ている。

③ あなたの経理キャリアはどう変わるか

経理担当者:10の業務のうち消えるもの、残るもの——生存ラインはここだ

あなたが日々行っている仕訳入力、請求書チェック、経費精算——これらが2年以内に大幅に自動化されることは避けられない。しかし、これは脅威であると同時に巨大なチャンスだ。

今すぐ始めるべきは「管理会計」へのスキルシフトだ。月次の数字をただ集計するのではなく、「なぜこの数字になったのか」「来月はどうなるか」を分析し、事業部門に提言できる力を身につけよう。AIが集計を自動化してくれるおかげで、あなたは分析と提言に集中できるようになる。これまで時間がなくてできなかった「本当にやりたかった仕事」ができるようになるのだ。

税理士事務所:クライアントへのAI導入支援が新たな収益源になる

記帳代行業務は壊滅的な打撃を受ける。クラウド会計ソフトとAIの組み合わせで、中小企業は自社で記帳できるようになりつつある。しかし、税務相談、節税提案、事業承継支援、M&Aのデューデリジェンスといった高度なアドバイザリー業務の需要はむしろ増加している。

記帳代行の単価下落分を、アドバイザリー業務の付加価値で補う構造転換が求められる。早期にFP資格やM&A関連の知識を身につけることで、「AIではできない税理士」としてのポジションを確保できる。

経理マネージャー:「10人チーム」から「3人精鋭チーム」への移行を指揮する

AIの導入で最も恩恵を受けるのは、実は経理マネージャー層だ。部下が手作業で行っていた集計作業をAIが瞬時に完了させるため、チーム全体の生産性が劇的に向上する。あなたの役割は「作業の監督者」から「経営の参謀」へと進化する。

具体的には、AIが出力したデータをもとに、経営陣に対して「今月の利益率低下は一時的なものか、構造的な問題か」「来期の設備投資はこのタイミングで行うべきか」といった戦略的提言ができるかどうかが勝負の分かれ目になる。

④ 月曜日から始める「AI耐性経理」への3ステップ

経理部門は「数字を入力するチーム」から「数字で経営を動かすチーム」に変わる。この変化を味方にしよう。

🟢 今日5分でできること

自分の経理業務を上記の10分類に照らし、「高リスク業務」の比率を計算する

仕訳入力、請求書処理、経費精算チェック、銀行明細消込、月次数値集計、固定資産管理——これらに週何時間費やしているかを概算してください。全業務時間に占める割合が60%以上なら、キャリアシフトの優先度は高いです。逆に、予算実績分析・管理会計・経営アドバイスの比率が高い人は比較的安全圏にいます。所要時間:5分。

🟡 今週中にやること

クラウド会計ソフトのAI機能を1つ試し、自動化の実力を体感する

freee、マネーフォワード、弥生会計のいずれかの無料トライアルに登録し、AI仕訳機能を試してみましょう。銀行明細を取り込むだけでAIが仕訳候補を出す体験は衝撃的です。同時にChatGPTで「この月次決算の数値から経営上の懸念点を3つ挙げて」と聞いてみてください。AIの分析力を体感することで、「自分がAIに勝てる領域」が明確になります。所要時間:トライアル登録15分+AI機能試用30分。

🔴 今月中に着手すること

「管理会計」「経営分析」のスキルを強化する学習を開始する

生き残る経理パーソンの条件は「数字の意味を読み解き、経営者に伝えられること」です。Udemy「管理会計入門」(2,000円前後)やグロービス学び放題の「アカウンティング」コースがおすすめ。さらに、今月の月次報告に「数値の分析コメント」を1段落追加してみましょう。「売上が前月比5%減」だけでなく「主因は○○セグメントの季節要因。来月は回復見込み」と書ける経理になることが、AI時代の生存戦略の核心です。所要時間:学習開始1時間+月次レポート改善30分。


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